ご無沙汰しております。真実です。
ホームページの引越がまだ終わっておりませんが、過去の記事を編集するばかり・・・
今日は気分転換に新しい記事を書き込みたいと思います。
先日、お客様から下水管の修理依頼をいただきました。
本来、水道屋さんのお仕事ですが、庭を掘削することになるので庭が荒れるのを心配され
『 稲田さんなら丁寧にやってくれると思って・・・』と
それだけ庭を大切に思っていただけていることがとても嬉しかったです。
こちらのお客様は2011年にリガーデン&土地の拡張に伴い作庭させていただいたお客様です。
それ以前からあった既存の下水管が詰まってしまったようでお風呂の水が流せないということでした。
水脈整備の必要性を実感
目星の付けた個所を掘削し、配管を探ってみるとひびの入った排水管が出てきました。
そこには2メートルほど離れた既存樹、梅の根が巻き付いていました。
*ここで紹介する排水管・梅は私たちの作庭以前からあるもので、すでに30年近く経っています。
根の成長により管が割れてしまった様子
管内ぎっしりと根が詰まっている
配管のジョイント箇所には接着剤が使用されていなかったようで、その隙間に生まれた空気層をめがけて根が成長したようです。
管内には土はなく、そこを流れる水と空気のみ。詰まっていた根を引き抜いてみると60㎝ほどの長さにまで管内ぎっしりと伸びていました。
お客様の話の中に、「今年は梅の実がたくさんなったのよ。こんなになったのははじめてかしら・・・」とありました。
梅の根が勢い良く成長した証ではないでしょうか?
やはり 植物の健全な成長には土中環境が大切 だとあらためて実感しました。
代表は、植物のための土中環境づくりを 矢野 智徳 氏 が代表を務める『大地の再生講座』で学んでいます。
この講座での学びを実体験する日となりました。
作庭志稲田では、大地の再生で学んだ『 水脈整備 』というものを作庭に取り入れています。
実際に作庭に取り入れた水脈整備の写真をいくつか掲載します。
地中環境=地上環境
2~3mの縦穴を数か所設置
集水管の周囲に枯れ枝葉
地表はバークチップで仕上げ
こちらの施主様は「自然な山の雰囲気にしてほしい。」ということで、仕上げはバーク。そして、ご依頼いただいた敷地の可能な箇所に水脈整備を整え、台地が呼吸している空間を提供することに力を入れました。地中が良い環境である地上には澄んだ空気が生まれます。大地の再生の学びを施主様と共有し、環境再生の意識を高めていけたらと考えています。
ゼニゴケ対策
水を流し続けても溜まらない
ゼニゴケ発生の箇所に水脈設置
ごろた石(筑波石)で仕上げ
写真左は粘土層を突き破った岩盤層。写真右の照明手前、景石の下に縦穴が掘られています。ここは山の頂上にある立地のため、粘土層を破り浸透層になると水道水をいくらか流しても溜まることのない状態となりました。
写真中央の集水管を配置した庭は、写真では分かりづらいですが、ゼニゴケを何度排除しても地苔の間から発生してしまう場所でした。ここに水脈整備を提案したところ、お客様にご理解をいただいて設置することができました。それ以降ゼニゴケは殆ど発生しておりません。
庭の機能
そもそも、庭というものは敷地内の集排水を兼ねた空間であります。
昔から庭にある池や蹲据(つくばい)・井戸などは、敷地内の集配水機能を備えていました。
現代の庭には、池や井戸・蹲据を設置することは少なくなりましたが、
この排水・集水機能を考えることも私たち庭師の役割と考えています。
単に見た目の美しさだけではなく機能美も考える。
そこに土中環境を整え、その空間の空気感もデザインする。これが庭のデザインと考えます。
この空気感をデザインするのが『 水脈整備 』であります。